• 2017-4-17

120年ぶりの民法改正で「敷金の返還義務」「原状回復の負担割合」が法律で明文化

定期借家

2017年4月14日、「契約や金銭の支払いに関するルールを定めた民法の規定(債権法)を見直す改正法案」が衆議院本会議で可決。

5月26日には、参院本会議でも賛成多数で可決し、成立しました。

追記:2017年12月15日、政府は民法改正の施行日を2020年4月1日にすると閣議決定しました。

これにより、1896年(明治29年)の制定以来、大きな見直しがなかった民法(債権や契約に関する分野)が約120年に大改正されます。

民法改正により「敷金」と「原状回復」のルールが明文化

今回の民法改正では、約200項目が見直されました。

その中には、不動産の賃貸借契約に関わるものもあり、今まで曖昧だった「敷金」と「原状回復」のルールが明確になっています。

敷金のルール

一般的にマンションやアパートでは、部屋を借りる際、初期費用として家賃の1~2ヶ月程度の「敷金」を請求されます。

これまで、この「敷金」については、あくまでも不動産業界の古くからの慣習として、やりとりされており、法律では何も定められていませんでした。

このため、敷金をめぐるトラブルが相次ぎ、国民生活センターによると「賃貸アパートを退去したが敷金をなかなか返してくれない」といった相談件数が1万4211件(2015年度)に達していました。

今回の民法改正により、法律で「敷金」の定義とルールが明確になり、地域によって異なっていた呼び名(関西では保証金)も統一されます。

敷金の定義

敷金については、次のように定義されます。

いかなる名義をもってするかを問わず、賃料債務その他の賃貸借に基づいて生ずる賃借人の賃貸人に対する金銭の給付を目的とする債務を担保する目的で、賃借人が賃貸人に交付する金銭をいう。

出典:民法(債権関係)の改正に関する要綱案

難しい言い回しとなっていますが、要するに家賃などの担保という意味です。

原状回復のルール

「敷金」という用語が定義されたと同時に

  • 敷金のルール
  • 原状回復のルール

が法律で定められました。

これまでの慣習でも敷金は、「家賃などの担保(貸主に預けるお金)」という意味合いがあり、原則、現状回復費を差し引いた額は”退去時に返還されるべき”とされていました。

しかし、この原状回復費について曖昧な点が多く、「ハウスクリーニング、畳表替え、壁紙の張替えなど、原状回復に必要な費用に充てるため」等の理由で敷金がまったく返還されなかったり、追加で費用を請求されるケースも少なからずありました。

一応は、国土交通省のガイドライン(指針)で「借主と貸主の負担割合」を公表していましたが、法的拘束力はありませんでした。

そのため、民法・借地借家法などに抵触しないように特約を付け、賃貸借契約が結ばれることも多く、しばしば紛争の種となっていました。

敷金の返還義務

次の通り、「借主が部屋を適法に引き渡したとき、貸主(大家)は敷金を返還しなければならない。」と法律で明文化されます。

7 敷金
敷金について、次のような規律を設けるものとする。
(1) 賃貸人は、敷金(いかなる名義をもってするかを問わず、賃料債務その他の賃貸借に基づいて生ずる賃借人の賃貸人に対する金銭の給付を目的とする債務を担保する目的で、賃借人が賃貸人に交付する金銭をいう。以下この7において同じ。)を受け取っている場合において、次に掲げるときは、賃借人に対し、その受け取った敷金の額から賃貸借に基づいて生じた賃借人の賃貸人に対する金銭の給付を目的とする債務の額を控除した残額を返還しなければならない。
ア 賃貸借が終了し、かつ、賃貸物の返還を受けたとき。
イ 賃借人が適法に賃借権を譲り渡したとき。
(2) 賃貸人は、賃借人が賃貸借に基づいて生じた金銭の給付を目的とする債務を履行しないときは、敷金をその債務の弁済に充てることができる。この場合において、賃借人は、賃貸人に対し、敷金をその債務の弁済に充てることを請求することができない。

出典:民法(債権関係)の改正に関する要綱案

原状回復費の負担割合

また、これまで曖昧だった「原状回復費の負担割合」についても、次のように法律で規定されます。

13 賃貸借終了後の収去義務及び原状回復義務(民法第616条・第598条関係)
民法第616条(同法第598条の準用)の規律を次のように改めるものとする。
(1) 第34の4(1)及び(2)の規定は、賃貸借について準用する。
(2) 賃借人は、賃借物を受け取った後にこれに生じた損傷(通常の使用及び収益によって生じた賃借物の損耗並びに賃借物の経年変化を除く。以下この(2)において同じ。)がある場合において、賃貸借が終了したときは、その損傷を原状に復する義務を負う。ただし、その損傷が賃借人の責めに帰することができない事由によるものであるときは、この限りでない。

出典:民法(債権関係)の改正に関する要綱案

原状回復の借主と貸主の負担部分
借主の負担部分 部屋を借りた後に生じた損傷の部分(普通の生活で生じた傷や汚れを除く)
貸主の負担部分 経年劣化、通常損耗の部分

つまり、借主が普通に生活して生じた傷や汚れは貸主負担となるため、敷金からは、その復旧費を差し引けません。

ただし、特約で原状回復の義務範囲が具体的に明記され、借主が十分認識・予測できるかたちで合意された場合は、その特約が有効になると最高裁で判決が下されています。(消費者契約法に反する内容に関しては、無効になる可能性があります。 )

原状回復費の負担例

さらに細かい内容(何が借主・貸主の負担になるか)については、国土交通省の「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン(PDF)」に載っています。

「テレビや冷蔵庫の裏にできる電気ヤケは貸主負担」「軽微な壁の画鋲跡は貸主負担」「引越し作業などで生じた引っかきキズは借主負担」「タバコ等のヤニ・ニオイは借主負担」など、非常に細かい内容となっています。

賃貸人・賃借人の修繕分担表

賃貸人=貸主(大家) 賃借人=借主(入居者)

ガイドラインは、あくまでも指針ですが、過去の判例にもとづいて作成されているため、裁判に発展した場合は、ガイドラインに近い判決が出ることが多くなります。

最後に

120年ぶりの民法改正により、

  • 敷金の定義
  • 敷金の返還義務
  • 原状回復費の負担割合

など、今まで国土交通省のガイドラインや判例で法律で明文化されます。

これまでも、実務上は、同様のルールで運用されていましたが、きっちりと明文化されることで、敷金返還に関するトラブルなどが減ることが期待されています。

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