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借地権の種類で異なる相続税評価額の計算方法をわかりやすく解説する

不動産売買借地権#借地権

最終更新日:2018.06.21

借地権の種類で異なる相続税評価額の計算方法をわかりやすく解説する

「今、親は借地の上に家を建てて住んでいる。もし親が亡くなったら借地権を相続することになるが、なにか相続税対策になるものはないだろうか。また借地権を相続したときはどれくらい相続税がかかるんだろう。計算方法を知りたい。」

そんな疑問に答えます。

 本文の内容

  • 借地権は相続税の対象
  • 借地権の種類で異なる相続税評価額の計算方法
  • 借地権にも小規模宅地等の特例は適用される

弊社は今年で創業して11年目です。地域密着型の不動産会社として多くのお客さまの住まいに関わるお手伝いをしてきました。

その中には「借地権を相続したものの相続税の支払いのために売却したい」という相談もあります。予想外に相続税が高かったとおっしゃる方が多いです。そこでこの記事では借地権を相続したときの相続税の計算方法についてわかりやすくお伝えします。

1.借地権は相続税の対象

親が借地権を持っていた場合、借地権も相続財産にみなされるので、他の財産と同じように相続税の課税対象です。

借地権を相続するときには通常の不動産を相続時に行う名義変更の相続登記を行うことがないので、借地権は相続税の課税対象外と思われる方も多いですが、相続税の対象となるので注意してください。

そして借地権にも種類があり、親がどの借地権を持っていたかで相続税評価額の計算方法は変わります。

2.借地権の種類で異なる相続税評価額の計算方法

まず相続税についてですが、これは借地権単体にかかわるものではありません。

借地権を含むその他すべての相続財産を合算し、各控除額を差し引いた金額が「課税価格」となります。この課税価格に応じた相続税率をかけて出る金額が相続税額です。

それでは各借地権の相続税評価額の計算方法についてお伝えします。

2-1.普通借地権の相続税評価額の計算方法

国税庁のHPには次のように記載されています。

借地権の価額は、借地権の目的となっている宅地が権利の付着していない、自用地(他人の権利の目的となっていない場合の土地で、いわゆる更地をいいます。以下同じです。)としての価額に借地権割合を乗じて求めます。

引用:No.4611 借地権の評価

 式で表すと下記のとおり

『普通借地権の相続税評価額 = 更地価格 × 借地権割合』

更地価格を計算し、借地権割合を確認するときに使うものが路線価図です。路線価は道路に面する宅地の1平方メートル当たりの価額のことで、路線価図では千円単位で表示されています。

また借地権割合も路線価図にA~Gの記号で示されており、その記号に応じた借地権割合で計算します。

地域によっては路線価が定められていないところもありますが、そのときは「評価倍率表」を確認します。路線価図や評価倍率表は下記のページから確認できます。
» 財産評価基準書|国税庁

たとえば、一つの路線に面する土地で、路線価は300、借地権割合は70%、面積500㎡の借地権では評価額を下記のように計算します。(簡単のために奥行価格補正率は無視しています。)

 ①更地価格を求める

300,000(路線価) × 700(面積) = 210,000,000(更地価格)

 ②借地権価格を求める

210,000,000(更地価格) × 70%(借地権割合) = 144,000,000(借地権価格)

このとき、1億4400万円が相続財産の金額として加算されます。

2-2.定期借地権の相続税評価額の計算方法

相続する借地権が定期借地権だった場合です。定期借地権は、契約期間に定めがあるので、評価額の計算方法も普通借地権とは異なります。

この場合の評価の方法も国税庁HPに掲載されているので下記をご覧ください。

定期借地権等の価額は、原則として、課税時期(相続の場合は被相続人の死亡の日、贈与の場合は贈与により財産を取得した日)において借地人に帰属する経済的利益及びその存続期間を基として評定した価額によって評価します。

ただし、定期借地権等の設定時と課税時期とで、借地人に帰属する経済的利益に変化がないような場合等、課税上弊害がない場合に限り、その定期借地権等の目的となっている宅地が自用地としての価額に、次の算式により計算した数値を乗じて計算することができます。

引用:No.4611 借地権の評価

この文章だけではどのように計算するのかぱっとは分かりにくく、どのように計算するか見当がつかないと思います。ですが心配しなくても大丈夫です。

定期借地権の価額については、国税庁が用意している「定期借地権等の評価明細書」の項目を埋めていくことで、意味は理解できなくても計算することができます。

ただ実際のところ、普通借地権であっても定期借地権であっても、更地価格を計算するときには二路線に面していると複雑になったり、奥行価格補正率や側方路線影響加算率なども加味する必要があったりと不動産の専門家でなければ計算が難しいです。

そして相続税評価額は計算を少し間違うだけで、数百万円単位で結果がずれることもよくあるので、極力、不動産会社に相談した方がいいです。

弊社でも相続した借地権の価額評価も行っておりますので、お気軽にご相談ください。
» お問い合わせはこちら

3.借地権にも小規模宅地の特例は適用される

小規模宅地等の特例は、適用条件を満たすと相続税評価額が80%減額されるというものです。通常の計算では3,000万円と評価されたものが600万円にまで下がります。

そしてこの特例は土地の借地権を相続する場合でも適用されます。

租税特別措置法第69条の4-2で“宅地等(土地又は土地の上に存する権利)”と記載されていて、借地権は「土地の上に存する権利」のことです。そのため、通常の土地を相続するときと同じように、小規模宅地等の特例を受ける条件を満たせば借地権でも同じように相続税評価額は80%減額されます。

ただし小規模宅地等の特例の影響が大きい分、適用要件は複雑で、様々な条件を満たしている必要があります。また小規模宅地等の特例を受ける注意点として、特例が適用された結果相続税がゼロ円だったとしても、税務署へ相続税申告をしなければならないということです。

小規模宅地等の特例は相続税申告書の提出も適用要件に入っているので、申告し忘れると適用が受けられず、逆に罰則があるので気をつけてください。

4.まとめ

借地権の相続税評価額の計算方法はここまでお伝えしたとおりです。最期にもう一つお伝えしたいことがあります。

それは借地権の相続税評価額と売却価額についてです。勘違いされる方が多いのですが、借地権は相続税評価額のとおりに売れるわけではありません。

詳しくは借地権の買取相場は存在しない【価格査定の仕組み/価格下落の理由】の記事を読んでいただければと思いますが、実際に売却しようとすると相続税評価額の30%~40%になることもあります。

そして借地権は税務上の評価額は高いので相続税も高額になります。そのため、借地権を相続したときには相続税に注意が必要です。相続税の支払いのために借地権を売却したとしても、相続税の支払いですべてなくなってしまう可能性もあるからです。

弊社では借地権の相続税対策に関する相談も無料で承っておりますのでお気軽にお問い合わせ下さい。
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