• 2017-10-29

生産緑地の2022年問題とは?日本の地価が暴落する日

皆さん、生産緑地の「2022年問題」をご存知でしょうか?

2022年に都市部で大量の住宅用地が供給されることで、土地価格が暴落するだろうと懸念されている問題です。

そして、この引き金が生産緑地とされています。

生産緑地とは

生産緑地とは、都市部(三大都市圏の市街化区域内)にある「農地」のこと。

正確に言えば、1992年に改正された生産緑地法に基づく農地のことを言います。

皆さんも「なぜ、こんな都市のど真ん中に農地があるのだろう?」と感じたことはないでしょうか?

あれらは、ほぼ”生産緑地”になります。

背景

では、なぜ、生産緑地が誕生したのでしょうか?少し見ていきましょう。

高度経済成長期、大都市では好景気により人口が流入し、深刻な住居不足に陥っていました。

この解決策として、政府に目を付けられたのが、都市部に残る「農地」です。

政府は、大都市の宅地不足を解消するために、農地を宅地化しようと考え、農地に「宅地並み」の高い税金を課しました。

農地から得られる収益は、宅地と比べれば少なく、「宅地並み」の税金は農家にとって、大きな負担です。

そのため、急速に宅地化が進むことになりましたが、「緑地機能や防災上、都市部にも農地は残した方がいい」という考えもあり、1972年、”都市部の緑地を守ること”を目的に生産緑地法が制定。

その後、1992年に

  • 農地として保存する土地
  • 農地から宅地にする土地

をより明確にする形で、生産緑地法の改正がなされ、都市部に「生産緑地」が多数生まれました。

定義

現在の生産緑地は、

a.良好な生活環境の確保に相当の効果があり、公共施設等の敷地に供する用地として適しているもの
b.500㎡以上の面積(300㎡以上で市区町村が条例で定める規模)
c.農林業の継続が可能な条件を備えているもの

出典:生産緑地法第3条「生産緑地地区の指定」

という条件のもと、市町村によって指定を受けた農地で、さまざまな税制優遇を受けられるようになっています。

税制優遇

生産緑地に指定された農地は、

  1. 固定資産税の軽減
  2. 相続税・贈与税の納税猶予

の主に2つの税制優遇を受けることが可能です。

1. 固定資産税の軽減

生産緑地では、固定資産税の軽減が受けられます。

具体的には、生産緑地に指定された農地は、固定資産税が「一般農地」と同等になります。

その税額は、宅地と比較すると数百分の1とかなり低くなります。

例えば、次のような条件の場合

  • 市街化区域内
  • 土地面積:1,000㎡
  • 課税評価額:1億円

「宅地」と「生産緑地」の固定資産税は、それぞれ次のようになります。

土地の状態 固定資産税の計算例
宅地 課税評価額(1億円) × 固定資産税(1.4%) = 1,400,000円
生産緑地 農地の調整税額(50万円) × 固定資産税(1.4%) = 7000円

※上記は一例です。市町村や土地の状態によって課税額は変わります。

その差額は、1,393,000円

宅地と生産緑地では、かかる固定資産税に雲泥の差があることが分かります。

ただし、この「税制優遇」受けるためには、

  • その土地を農地等として管理しなければならない。
  • 農業を営むための施設・建築物以外は、原則的に設置ができない。

という条件を満たす必要があります。

2. 相続税・贈与税の納税猶予

生産緑地では、相続税の納税猶予制度も受けられます。

具体的には、生産緑地を相続する際、「本来の相続税額」と「農地の相続税額」の差額が猶予されます。

結果的に相続税が「一般農地」と同等になります。


出典:農林水産省

ただし、相続税の納税猶予制度を利用すると、相続税が大幅に安くなるのと引き換えに、相続人には「終身営農」の義務が発生します。

つまり、死ぬまでその土地で農業を続けなければなりません。

仮に、病気などによって、農業を続けられなくなり、後継人も見つからない場合は、”納税猶予額”に利子税を付加して納めなければなりません。

2022年に「生産緑地」の期限を迎える

ここまで説明したとおり、生産緑地は、営農義務が課せられる代わりに、税制面で大きな優遇を受けていることが分かります。

しかし、これも、生産緑地の指定を受けてから、30年間だけです。

大多数の農地では、1992年度に指定を受けているため、2022年に「生産緑地」の期限を迎えることになります。

生産緑地の期限を迎えたらどうなる?

生産緑地は、30年を経過すると、

  1. 自治体に買い取り申し出を行える
  2. 自治体が買い取らなければ、他の農家などにあっせんする

流れになります。

しかし、自治体は”財政に余裕がない”という理由から、これまで買い取ったケースはほとんどありません。

もし、買い手が見つからなければ、最終的には、生産緑地の指定から解除されます。

そして、これまで受けていた固定資産税の「税制優遇」もなくなってしまいます。

約1万3,653ヘクタールが対象

生産緑地の2022年問題に警鐘が鳴らされている理由は、その対象面積の広さにあります。 

その広さは、約1万3,653ヘクタール(2014年時点)

これは、東京ドームの約2,968個分、東京23区のほぼ中央「東京都千代田区」の約12倍の面積に相当します。

地域別の生産緑地面積

地域 生産緑地の面積
関東 7,840.40ha
(東京都:3,329.80ha)
北陸 0.10ha
中部 1633.62ha
(愛知県:1,206.02ha)
近畿 4175.40ha
(大阪府:2,100.40ha)
九州 4.02ha

もし、これらすべての生産緑地が期限満了により、短期間で「宅地」に変わり、そこに一戸建てやアパートが建設されたとすれば、どうなるか。

現状でさえも、右肩上がりに増え続けている「空き家」に拍車がかかり、地価が暴落してしまうことは容易に想像できるでしょう。

政府も対策に乗り出している

政府も「生産緑地の2022年問題」を大きく捉えたのか、2017年に改正緑地法が施行されました。

これは、生産緑地で30年の期限を迎えた後も「特定生産緑地」として10年毎に更新できるという内容です。

この改正と併せて、一部条件の緩和もされています。

  生産緑地 特定生産緑地
面積制限 500m²以上 300m²以上
期間制限 30年間 10年間
(10年毎に更新可能)
設置可能施設 農業に必要な施設のみ 直売所や産直レストランなども条件付きで可能

ただし、特定生産緑地に指定されるには、市町村に「良好な都市環境の形成を図る上で特に有効」と認められなければなりません。

また、生産緑地と同じく、

  • その土地を農地として管理しなければならない。

という条件を満たす必要があります。

日本の地価が暴落する日は訪れるのか?

では、ここまでを総合的に考えて、2022年に生産緑地が一斉に「宅地」になり、地価が暴落することはありうるのでしょうか?

実際、1992年に生産緑地法が改正されたときも、都市部の農地は、

  • 税制優遇を受けられる「生産緑地」
  • 税制優遇を受けられない「農地」

の2つに分けられ、今後訪れる生産緑地の2022年と同じ状況になりました。

次は、都市部の「生産緑地」と「農地」の減少率の推移です。


出典:ニッセイ基礎研究所

農地の種類 1992年 2014年 減少率
都市部の「生産緑地」 15,109ヘクタール 13,653ヘクタール 約9.63%
都市部の「農地」 30,628ヘクタール 12,916ヘクタール 約57.82%

政府が意図したとおり、税制優遇のない都市部の「農地」は、生産緑地と比べて、かなり大きな減少率となっています。

とはいえ、22年間で約57.82%の減少。

生産緑地を10年毎に更新できる対策がなされたこともあり、2022年に生産緑地の期限が満了になったからといって、「一斉に」すべての農地が宅地に変わるということはなさそうです。

また、先代から相続税の納税猶予制度で、農地を相続している場合は、途中で農業をやめてしまうと、膨大な「納税猶予額+利子税」を支払わなくてはなりません。

そのため、「農地から宅地に転用したくてもできない・・・」という方も一定人数いると考えられます。

ただ、2022年は1992年と比べると、時代も大きく変わり、

  • 人口減少時代の突入
  • 少子高齢化の深刻化
  • 空き家率の増加

など、社会問題も深刻化しています。

そのため、農地から宅地への転用を利用した戸建てや賃貸マンションの増加の影響は、以前と比べて大きいと推測できます。

いずれにしても、2022年をきっかけに農地から宅地への転用が加速するのは、ほぼ確実。

すぐにではないにしても、2022年以降、5年、10年、20年かけてじわじわと影響が出てくると考えられます。

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